【疑問】株式投資は副業禁止令に反するのか? 会社が投資を禁止できない3つの理由
【疑問】株式投資は副業禁止に反するのか?
会社が投資を禁止できない3つの理由
「投資を始めたいんだけど,うちの会社は副業禁止なんだよね~」
「株式投資をして配当金を受け取ったら,確定申告すると収入額が変わって副業を疑われるんじゃないか?」
そんな心配をしている人もいるのではないでしょうか?
結論から申し上げますと,株式投資をしても副業禁止と咎められることはありません。
というより,そんなことがあってはいけないはずです。
今回はその理由について,いくつか例を挙げてご説明します。
1.”業”の定義から
これは一般的な副業禁止の話でもよく取り上げられる考え方ですが,そもそも業という行為の定義に含まれなければ副業には該当しません。
ここで”業”とは何か考える上で重要な公的文章を一部抜粋して引用します。
法律上業としてある行為をするという場合その業の本来の意味は、その行為を反覆継続して行うということである。即ち、ある行為を反覆継続して行う場合には、その行為を業として行うということになる。従つて、相手方が不特定多数であること、対価を受けること等は本来の「業」の概念上必要ではない。但し、業として行うという場合には、その行為が社会性をもつて行われることが必要であつて、単に個人の消費生活上反覆継続して行われるような場合や個人自身の娯楽としてなされる等の場合は含まれない。(昭和二四年一〇月一七日)(衛発第一〇四八号)(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通知)(出典:公衆浴場法等の営業関係法律中の「業として」の解釈について より)
この文章は,副業禁止について論じているサイト等でよく引用される公的な文章です。
よく取り上げられるのは「反覆継続して~」という部分ですが,今回私が着目したいのはそれよりあとの但し書きの部分です。
- その行為が社会性をもって行われていない
- 単に個人の消費生活上行われる
- 個人自身の娯楽として行われる
このような場合にはそもそも行ではないよと,厚生省の局長クラスの方の名義で通知が既に出されてしまっているわけです。
特に個人自身の娯楽として行われる場合ですが,利益が発生する可能性のある娯楽としてパチンコや競馬などの公営ギャンブルについては禁止されていませんよね?
一企業が簡単にこれを覆して,個人の娯楽を禁止するなんてことはそもそも憲法にすら違反しそうな行為です。
それ以前に大前提として投資の本質はお金に働かることであって,自身の労働ではありません。
このようなことからも投資の結果金銭的な収入を得たからと言って副業禁止でお咎めを受ける筋合いはないと判断できるでしょう。
2.税法上の取り扱い・所得区分から
さて,株式投資をしているとその売買により,利益を得ることができる可能性があります。
利益つまり所得が発生した場合必ずと言ってよいほど発生するのが納税の義務。
ここで,我が国日本では税法上所得は10種類に分けて考えられています。
株式の売買で得られる所得は譲渡所得,事業所得,雑所得のいずれかで確定申告できるようです。
とはいえ,源泉徴収有りの特定口座で取引をしている人の場合は譲渡所得として処理されていることが多いでしょう。
上記のトウシルでは事業所得や雑所得として確定申告する場合は経費の計上や控除制度の利用が可能と紹介されています。
しかし,法人として,個人事業主として株式の売買で稼いでいるわけで無いならば事業所得として申告する人はいないでしょう。
ここで,発生する所得の種類が事業所得でも給与所得でも無いのに会社がそれを勝手に副業認定して副業禁止規定を押し付けることができるでしょうか?
こちらも国税庁のお墨付きで譲渡所得や雑所得として申告されたものについて一会社が口を出すことはできないでしょう。
また株式を所有している場合は配当金が,債券を所有している場合は利子が支払われることもあるでしょう。
これらについても配当金であれば配当所得,利子であれば利子所得という区分で扱われます。
お金を働かせて得た収益であればこれについても会社が一方的に副業認定などできるはずがありません。
ということで税金という切り口から見ても投資は副業には該当しないと判断できるでしょう。
3.従業員持株会の存在から
世の中の上場企業の中には従業員に対してお得に自社株の購入ができる従業員持ち株会という福利厚生制度を提供しているところが多くあります。
この制度は安定株主の獲得や従業員のやる気アップ!などなど会社側にとっても都合の良いことが多いので多くの会社では奨励されています。
奨励されているから付加給付金がもらえるわけですが。
購入の仕方や給付金制度があっても,株式投資にはかわりないので当然売買益や配当金を手に入れることができる可能性があります。
これらの収入についても先に示した通り税法上の区分ごとに処理されます。
さて,ここで考えてみましょう。
もし仮に,株式投資が会社が禁止する副業に該当するのであれば,その行為を持株会と言うかたちで奨励するのは甚だ矛盾していると言わざるを得ません。
つまり背理法的に考えれば,やはり株式投資は副業に該当するはずが無いんです。
学校の数学で習った背理法。こういうところで使うんですね☆彡
ということで,持株会という切り口でみても株式投資は副業に該当しないと判断できそうです。
ちなみに,持株会以外で自社株を売買することはやめておいたほうが無難でしょう。
インサーダー取引のあらぬ疑いをかけられたら困りますよね。
当然のことながら,インサーダー取引そのものについてはするとろくなことにならないので人生を某に振りたい場合を除いてやめておきましょう。
加えて,副業禁止令に反しないからとはいえ本業の業務中にスマホでポチポチは人としてあまり良い行為ではないのでやめましょう。
休憩時間に注文を出したり,指値注文などを上手く駆使して本業の就業時間中はそちらに集中しましょう。
まとめ
ということで,今回は副業禁止の会社で株式投資をしても問題ないのかという疑問について様々な切り口で考えてみました。
実際に株式投資だけでなく投資という行為は副業とみなされることはなさそうです。
その証拠に,法律で副業が禁止されている公務員でさえ不動産や株式への投資は許可される場合がほとんどだそうです。
そもそも公務員を除いて副業を禁止できる法律がないらしいですし,世の中や政府の動向をみれば副業禁止という規則自体があっては行けない気もしますが。
投資を副業として紹介している書籍もありますが,お金に働かせるという投資の本質を考えると,この表現自体が適切でないとすら私は考えています。
ということで,副業禁止規定を恐れることなく日々の投資に取り組みましょう。
今回はここまで。
さよなら,さよなら,サヨナラ~
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