マネーリテラシー概論 超入門【第5回】銀行預金

身近で意外と知らない銀行のコト (銀行口座から証券口座へ)


こんにちは皆さん。前回は投資をしていく上で絶対おさえておかなければいけない,リスクとの付き合い方についてご紹介しました。

資産運用・投資全般についてのお話は前回の第4回が最後で,第5回の今回からはようやく具体的な資産の運用法について紹介していきます。

今回は,皆さんに良く馴染みのなる”銀行預金”のお話です。

「資産運用がしたいのに銀行預金の話かよ~」と思うかもしれませんが,銀行預金も立派な資産の形の一つなんです。

銀行のことなんていまさら知っていると思っている方も,意外と知らないことがあるかもしれませんので最後までお付き合いください。

注意:
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大事なことです。銀行預金にはあまり関係ないかもですがしっかり書いておきます👍


そもそも銀行とは?

普段からお世話になっている銀行。
銀行口座を持っていないという人を探す方がたいへんなくらい皆さんにとって身近な存在。
それが銀行ではないでしょうか?

では,皆さんは銀行にどんなイメージをお持ちでしょうか?
銀行はお金を預けるところ?借りるところ?振り込むところ?

銀行にお金を預けておけば,盗まれることも火事で燃えることも無くて安心。

おまけにわずかではあるけれど,預けている金額に応じた利息までもらえる。

こんなにしてもらっているのに,お店に行けばお客様扱いでいいことばかり?
なんだか不思議だけど信用できて安心・安全。

これが今のところ,皆さんの銀行に対するなんとなくのイメージではないでしょうか?


おさらいですが、実際に銀行預金はリターンは小さいけれどリスクも小さい。
一般に”手堅い”と思われている運用法でしたね。

しかし,どうしてタダでお金を預かてくれる上に利息までくれるのでしょうか?
そう聞かれると,意外と答えられない人も多いのではないでしょうか?

今回はこの辺のことについてまとめていきたいと思います。

キーワード

  • 間接金融・直接金融
  • 預金・融資・為替
  • ペイオフ

銀行の種類

そもそも,銀行といってもメガバンク,地銀,信用金庫などなど一般に銀行と呼ばれるものにも色々ありますよね。

資産運用のお話に入る前に,ここでは少しだけ義務教育のおさらいも兼ねて銀行の種類についてよく聞くものをいくつか超簡単にご紹介しましょう。

日本銀行

我が国唯一の”中央銀行”。それが日本銀行です。

そもそも中央銀行って何なのか?
中央銀行とは通貨価値,物価,金融システムの安定化などを目的とした金融政策を担う公の金融機関です。1) 
ちなみに財務省が行うのは財務政策ですよね?

他の国でも同じような機関がありますが,日本の中央銀行は日本銀行(日銀)です。
また,政府系銀行という銀行も存在しますが,それと中央銀行は異なる存在です。

さてここでQuestionというか義務教育のおさらいです。
日本銀行には主に3つの役割がありますが,次の内1つは間違いが含まれます。
それはどれでしょうか?

A:”政府の銀行”として日本政府のお金の管理をする。
B:”銀行の銀行”として他の銀行に対してお金を預かったり,貸し出したりする。
C:”発券銀行”として日本円のお札や硬貨を発行する。


勘が鋭い方は簡単にわかってしまう問題かもしれませんし,これくらい中学校でやったから楽勝~という方もいらっしゃるかもしれませんが,正解は C です。

”発券”というほどですから日銀は紙のお札(日本銀行券)を発行しています。
(ただし,実際の紙幣を作っているのは国立印刷局です)

では硬貨はどこが発行しているかというと,”経済への影響が比較的小さいだろう”ということでこれまた財務省が管轄しているそうです。
ちなみに,1円~500円までの硬貨のことを正式には補助貨幣と呼びます。

あまり一般人には馴染みがなさそうな日銀ですが,株式などを対象とした投資を始めると日銀の動向を把握することは大きな意味を持つことになります。

ひとまず初心者未満の段階では,日銀の動向は株式市場や日本経済に大きな影響をあたえるということだけとりあえず押さえておきましょう。

普通銀行(都市銀行・地方銀行)

いわゆるメガバンク地銀と呼ばれる銀行で,まとめて普通銀行と呼ばれます。
このへんから一般人にも身近になってきますね。
これらに共通しているのは民間の株式会社であり,利益を求める組織ということです。

以下,特に断りが無い限り銀行といったらこれらの銀行の事をさします。

メガバンクは主に大都市圏に拠点をおいて活動していますが,地方都市にも支店を展開しているのが特徴です。
三菱UFJ,三井住友,みずほ など○○フィナンシャルグループの系列の大銀行が特に3メガなどと呼ばれます。

また,大企業などの法人や富裕層を主な顧客のターゲットとしていることも特徴的です。

その事もあってか,最近(2020.12月時点)では3メガによるATM手数料の引き上げや紙媒体の通帳発行の有料化など個人客軽視な改革を推し進めています。

また,一般人がお金を借りようとしてもあまり相手にされないようです。


一方で,地銀は地方に拠点を置きその地域および近隣の地域で活動する銀行の事です。

地方といっても大都市圏や海外に支店がある地銀も一部では存在します。

顧客ターゲットとしては個人客も含まれますがやはり中小企業など比較的大きなお金を動かせる法人の方が喜ばれるようです。

メガバンクよりもマシですが,やはり一般人レベルでは敷居は少しお高めかもしれません。

ちなみに,地銀にも格があるようで第二地銀というくくりも存在するようです。

(追記:厳密には,地銀と第二地銀と呼ばれる銀行では設立の目的や理念などがもともと異なっていたようです。今では共に株式会社の形態をとっていますが規模などの面から呼び分けられることもあるようですね。) 

信用金庫

いわゆる信金と呼ばれる銀行です。

メガバンクや地銀などと同様に日常生活の中でよく聞く銀行の種類ですが、それらとの大きな違いが地域の発展を目指す扶助組織・協同組織の金融機関であり,非営利組織であるという点です。

そのため上記の普通銀行とは対象となる法律も違い,活動地域や預金・貸し出しに規定があります。1)

以前,地元の某信金の方とお話しした際に聞いた話ですが,非営利組織であるため実際に
大して利益が出るような活動(つまり運用,この後触れます)はしていないそうです。

一般人でも金額こそ下がるかもしれませんがお金を貸してくれることが多いようです。
地域に最も密着した一般人にも馴染みやすい銀行の形態といえるでしょう。

それとともに,デマなどの風評被害による影響を受けやすい銀行の形態とも言えそうです。
(後述の銀行のビジネスモデルで解説します)

実際に,そうした事件(取り付け騒ぎ)も過去に起こっているようです。
(参考:「女子高生の冗談」が招いた信用金庫破綻の危険,東洋経済オンライン,2020.5.12,

このブログの読者様には是非とも正しい知識を付けたうえで,非営利組織である信金をいじめないようにお願いいたします。
管理人とのお約束ですよ!


他にもネット銀行や信託銀行,ゆうちょ銀行などの形態もありますが,ここでは省略します。

銀行の三大業務 

さて,銀行に色々な種類が存在するのは分かったけど,銀行って何をやっているの?
15時には閉まっちゃうからお客さんは入れないけど,中でちゃんとお仕事しているの?と
思う方もいらっしゃるかもしれません。
(実は閉まった後,特に月末が忙しいみたいですが)

ここで,銀行には三大業務なるものが存在します。2) 
それがキーワードに挙げた預金・融資・為替でございます。
銀行のビジネスモデルについて紹介する前にここではまず,この三大業務について軽く学んでおきましょう。

預金

読んで字のごとく,お客さんからお金を預かり,銀行口座の管理をするお仕事です。
銀行といえば預金,という感じで最も分かりやすい銀行の業務かもしれませんね。

ちなみに,一般的な銀行の場合預金と言うのに対しゆうちょ銀行の場合は貯金といいますよね。
これは郵便貯金という昔の制度の名残だそうですよ。

融資

住宅ローンなどお金を貸す仕事がこの融資です。

ただ単に貸すだけでなく,しっかりと返してもらわなければいけませんので,お金を貸す相手が信用できるかどうか?という審査を行うのも融資のお仕事の一部です。

為替

預金,融資ときて最後に為替って何?と思うかもしれませんが,分かりやすい言葉で言い換えると振込,振替,送金に関わる業務のことです。

他にも聞き慣れない言葉で小切手・手形などを扱うのもこの為替のお仕事です。

この業務の特徴としては現金のやり取りが発生しないということが挙げられます。


この他にも,投資信託を販売したり,遺言の管理(信託業務)などを行ったり,企業買収のサポート(M&A)を行う銀行も増えてきています。

銀行のビジネスモデル

さて,ここまでは銀行の基本的なことについて軽くおさらいしてきましたが,資産運用について考える上ではここからがいよいよ本番です。

銀行がだいたい何をやっているのかは分かったけれど,銀行はどうやって稼いでいるの?

ここでは,銀行がどのようにして稼ぎ,なぜタダでお金を預かってくれるだけでなく利子までくれるのか? 

その疑問にお答えします。

早速ですが以下のイメージ図をご覧ください。


上の図は管理人がPowerPointを使って作成してみたものです。

図中の中で,
青色の両矢印は行ったら帰ってくることが望ましいお金(元本)
赤色の巻き矢印は元本から生じた付加価値(利益)を表しています。

また,矢印の大きさは動くお金の大きさを何となくですが表現しています。

*図には含まれていませんが実際には税金として系から出ていくお金もあります

この図から分かるのは

「銀行は人々からお金を集め,そのお金を使って利益を得る組織」

ということです。
例えば,預金者から金利0.002%で集めたお金を,企業に5%の金利で貸し出せばその金利差が銀行の利益となります。

また機関投資家として株式や債券で運用しても利益を出すことができます。

(ただし毎度おなじみ,簡単のため税金は考慮していません)

人から集めたお金を使って商売をしているという事は,当然実際には預金者が預けた全額が常時そのまま銀行に置いてあるというわけではありません。

このように,銀行が人からお金を借りて,そのお金が口座の中にない状態でも残高と反映扨せながら他の企業などに融資することを信用創造と言います。
なんだか錬金術みたいな仕組みですね。

ですから,先程ご紹介したように大勢の預金者が一度に大量の預金を引き出そうとすると
銀行は大変困ってしまいます。

これが,銀行が風評被害の影響を受けやすく信用第一な業種である一因です。

一般的に普通預金よりも期間の長い定期預金の金利が良いのも,預金をあまり引き出されないほうが銀行としては都合が良いからですね。

さて,逆に預金者の立場から見てみると,銀行を通してお金の必要な人にお金を貸したり,お金を運用したりすることでお金を増やしているということになります。

「資産運用なんて自分はやったことないし無理」と言いながら,銀行に預金している皆さんは既に銀行を介して資産運用をしているのです。

このように,第三者を間を挟んだ金融の形態を間接金融といいます。

ただし,第三者を通しているので受け取れるリターンも少なくなります。
銀行も人件費等々がありますので当然と言えば当然です。

もう一つの口座 証券口座

逆に銀行などの第三者を挟まず自ら対象を選択し判断してお金を貸したり(債券投資),出資したり(株式投資)することでリターンを狙うのが直接金融です。

そして,これを行うのが皆さんの目指す投資家と呼ばれる人たちです。

以下に個人投資家としてのイメージ図を示します。


あくまでイメージ図であって,実際はもう少し複雑です。
毎度おなじみ,簡単の為に税金については省略しています。

さて,今回の記事で伝えたいことの一つは資産運用としての銀行預金がどんなものかという事ですが,もう一つは「投資家と言う面も持ちましょう」ということです。

ここで,投資家として活動する際に必要になってくるのが証券会社で開設できる証券口座です。

次回以降ご紹介する金融商品は証券会社を介して買う必要があるかそうした方が良い場合が多いです。

以下の記事では初心者の方が初めて開設するときのポイントについても触れています。
参考までにどうぞ。


ペイオフ

なぜ,投資は危険で銀行預金は安心安全と思っている人が多いのでしょうか?
その理由の一つが,銀行預金は元本保証という安全神話ではないでしょうか?

これは一般にペイオフと呼ばれる預金保険制度に由来します。

その概要を以下に示します。
預金保険制度とは、金融機関が預金保険料を預金保険機構に支払い、万が一、金融機関が破綻した場合に、一定額の預金等を保護するための保険制度です。

預金者が預金保険制度の対象金融機関に預金等をすると、預金者、金融機関及び預金保険機構の間で自動的に保険関係が成立します。このため、預金者は、預金保険の手続を行う必要はありません。

預金保険制度の原資となる保険料は、対象金融機関が、前年度の預金量等に応じて、毎年、当機構に納付します。

わが国の預金保険制度は、「預金保険法」(昭和46年制定)により定められており、政府・日本銀行・民間金融機関の出資により設立された当機構が制度の運営主体となっています。

そしてこの制度では,利息のつく普通預金・定期預金などのうち,合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。3)

逆に言うと,その範囲を超えた部分は元本割れする可能性もあります。

また,外貨預金、譲渡性預金、一部の金融債などはそもそも補償の対象外です。3)

つまり,銀行預金の安全神話も完全ではないということです。

銀行で取り扱っている商品は全て際限なく元本保証だと思い込んでいる人もいるようですが,それは誤りです。

実際に銀行で投資信託を買ったお年寄りがお金が減ったと文句を言いに来るという事もあるそうです。
残念ながらもちろん自己責任です。
銀行で投信を買う際にも説明されたはずですが,そうでなくてもこのことを理解していればこんなことは起こり得ないでしょう。

皆さんは正しく理解し正しく銀行を利用しましょう。

まとめ

今回は,資産運用の中でも最も身近な銀行預金についてご紹介しました。
最も身近といっても,普段お金を預けたり振り込んだりするだけで実際は全然知らなかった
という方も多いのではないでしょうか?

銀行預金は資産運用という視点で見るとあまり効率の良い運用法ではありません。

しかし,ただ単に金庫として使う分にはタンス預金よりも防犯的な面で安全です。

また銀行預金ありきで世の中が成り立っている以上銀行の存在価値が直ちに無くなることは無いでしょう。

少しでも良い金利で預けたい場合は,人件費などがあまり掛からないネット銀行なども検討してみると良いかもしれません。


次回はいよいよ投資と呼べる運用法である債券についてご紹介します。
管理人は普段株式を主に投資対象としていますが,実は債券が一番好きだったりもします。
その理由は次回分かるかも?お楽しみに。

それでは,お疲れ様でした。






参考文献

3)預金保険機構,預金者を保護するしくみ,預金保険制度の概要,