マネーリテラシー概論 超入門【第4回】リスクマネージメント

リスクとの上手な付き合い方(ポートフォリオを考える)


こんにちは皆さん。前回の第3回では資産運用・投資をしていくうえで必ずぶつかる
壁の一つであるリスクについて,その種類やリターンとの関係についてご紹介しました。

第4回の今回は人によって異なるリスク耐性や可能な限りリスクを抑え最適化する手法についてご紹介します。
(このマネーリテラシー概論シリーズの中でも今回は最も大事な回になると思っています)

注意:
投資はあくまで自己責任で行うものです。また,当ブログは特定の投資行為を推奨するものではありません。ゆえに当ブログでは一切の責任を負いかねます。詳しくはブログポリシーのページをご確認の上ご了承ください 


大事なことなので,しっかり書いておきます👍

今回のキーワード

  • リスク許容度
  • リスク分散
  • ポートフォリオ

リスク許容度

前回の記事の中では,一般にリスクが大きい金融商品ほどリターンも大きくなるという事をご紹介しました。

では,大きなリターンを得るために誰もが大きなリスク覚悟して株式などの金融商品に手を出すべきなのでしょうか❓
この問いの答えはもちろんNoです。

「退職金が入金されると銀行から投資信託のご案内が来る」
という話を聞いたことは無いでしょうか?

そして,退職金で得たまとまった額のお金を投信につぎ込み大切な老後資金を失ってしまうという残念な人が実際にいます。

(大事なことなのでもう一度。投資は自己責任です,この場合も例外ではありません)

このように必ずしもリスクを取って投資による資産運用をすべきでない人もいます。

ここで大切なのは自身のリスク許容度を把握して,それに合った金融商品を選択するということです。

ここでリスク許容度とはどれくらいまでの損であれば生活や気持ちが耐えられるか
というものです。
言い換えれば,経済的,心理的なリスク耐性の度合いでしょうか?

このリスク許容度は年齢や家族構成,収入や資産,そして性格によって決まるとされます。

一般に,リスク許容度が高い(リスクに耐性がある)人の特徴としては以下のようなものが挙げられます。
  • まだまだ若い(人生でやり直しがきく)
  • 家族が少ない(子供の教育費などライフイベントが少ない)
  • 収入や資産が多い(生活費に占める投資額の割合が少ない)
  • マイペースな性格(神経質,心配性でなくあまり一時的な損が気にならない)

一方で,リスク許容度の低い人(リスクに耐性がない)人の特徴は
上記の逆で以下のようなものです。

  • 年配・退職を控えている(この先収入が見込めず老後資金を確保する必要がある)
  • 家族が多い(教育,冠婚葬祭,ローン返済などなど今後もお金のかかるイベントが多い)
  • 収入や資産が少ない(生活費に対する投資額の割合が大きくなり損が生活に直接影響)
  • 神経質・心配性(一時の損益が気になり長続きしない)

先程の例は,もう若くなく安定した収入も見込めない,つまりリスク許容度が低いにもかかわらず老後資金として確保しておくべきであった退職金を銀行の人に言われるがまま投資信託につぎ込んでしまい,挙句の果てに損して生活が大変になるという非常に残念な事例でした。

ここで思い出していただきたいのは,目的は資産を運用して増やすことであって投資はその手段のなかでも優れた1つでしかないということです。

必ずしも,誰しもがリスクの高い金融商品に投資しないといけないというわけでもなく,トレーダー(ギャンブラー)を目指しているわけではないという事を心掛けましょう。

一人一人が自らの将来を見据え,自身のリスク許容度を認識したうえでそれに合った金融商品を的確に選択することが重要です。

Point:自分のリスク許容度に合った投資をする

リスク分散

前回に引き続きリスクについて取り扱ってきましたが,やはりリスクとはなるべく関わりたくないものです。

ここで,リスクを完全になくすことはできませんが,リスクは最適化することで,ある程度であれば抑えることができます。

ここでよく出てくるキーワードが分散(分散投資など)です。

”卵を一つのカゴに盛るな”という言葉が投資の世界では有名です🥚



この言葉は,
全ての卵を一つのカゴに盛っているとコケたとき全ての卵が割れてしまうが卵をいくつかのカゴに分けて(分散して)持っておけば,被害が小さくなる。」
という例えでよく使われます。

ただ一言分散では分かりずらいので,いくつか例を挙げてみましょう。


例1)
ある日,マナミさんは旅行会社の株とゲーム会社の株をそれぞれ100株ずつ買いました。

数週間後,日本国内でコビットウイルスが大流行したことにより,自治体が自粛令を発令したため旅行の需要が劇的に減ると思われ旅行会社の株は売られ,100円値下がりしました。

一方,意外なことに自宅に留まることを余儀なくされた人々がストレス発散のため家庭用ゲーム機を買ったので,ゲームの需要が高まると思われゲーム会社の株価は110円値上がりしました。

これによりマナミさんは世間が騒いでいる中なぜか
(-100×100)+(110×100)=1000円分 得をできました。

解説1)
この例ではマナミさんが旅行業界,ゲーム業界など投資先の業種を分散していたため,どちらかがダメになってももう片方がその分良くなったというものです。
仮にマナミさんが資金を全集中して旅行会社の株だけを買っていたら,このコビットウイルスにより大打撃を受けていたことでしょう。


例2)
タカシさんはある日,ユメまるHDの株を1000円で500株買いました。
一方,ユウジさんはその日は100株だけ,その次に週に900円で100株,さらにその次の週950円で200株,また翌週に1000円で100株買いました。

タカシさんは1000×500=50万円かけてユメまるHDの株を500株集めたのに対し,ユウジさんの場合は同じ会社の株を同じ500株集めたのですが...

 (1000×200)+(900×100)+(950×200)
=20 万+9 万+19 万=48 万円

とタカシさんより2万円だけ安く集めることができました。

解説2)
この場合はタカシさんが一度に株を購入したのに対し,ユウジさんは購入時期をずらし時間を分散して購入したためタカシさんよりもユウジさんのほうが安く購入できましたと言う例です。

ちなみに株の世界でよく出てくる平均取得単価(一株当たりの購入金額)を計算してみると

タカシさんの場合は 50 万円÷500 株=1000 円/株 となり買った日の株価と同じですが,

ユウジさんの場合は 48 万円÷500 株=960 円/株 となります。

このように,単に分散といっても投資先の業種,時間,国など分散する対象は様々です。

業種や時間の分散であれば価格変動リスク,国の分散であればカントリーリスクの最適化が
可能となります。

この例では株式を想定しましたが,保有する資産の種類も1つだけでなく現金,預金,債券,株式,投資信託そして場合によっては金(貴金属のほう)などに分散して保有することで,それぞれの弱点を補い合いリスクを抑えることができます。

(例えば,恐慌で株価は下落したが,代わりに金の価格が上がったため
全体ではそこまで損はしなかった という場合など)

投資による資産運用ではリスクは付きものですが,資産の配分などを工夫して最適化することでリスクは抑えることができるのです。

Point:資産を最適化することでリスクを制御する!


ポートフォリオ

これまでリスクとは何ぞやという所から始まり,リスクの抑え方までご紹介してきました。

ここで,最後に資産運用をするうえで大切なポートフォリオについてご紹介します。

このポートフォリオという言葉自体は金融分野以外でも使われる言葉ですが,資産運用の世界におけるポートフォリオとは金融資産の組み合わせのことをさします。

具体的にどんなものか以下にお示しします。

ただし,あくまで私が考えた1例であり必ずしも最適な配分というわけではありません

例1)



この例はそこそこいい加減ですが,投資に積極的だが資産の価格変動にはまだまだ慣れない若者を想定して組みました。
(上に戻って,この若者の場合のリスク許容度はどれくらいなのか想像してみましょう)

このポートフォリオでは対象の人物の投資経験が浅いという事を考慮して,
  • 半分近くを馴染み深くほとんど元本が保証されている銀行預金としつつ
  • その積極性と年齢を考慮しややリスクが小さくそこそこのリターンが期待できる債券の割合を1/4まで確保し
  • さらに面白みのある株式(国内株を想定)とリスクはありつつそこそこのリターンが期待できる投資信託を15%ずつ
としました。


例2)


続いての例はこちら。
まず先程の例とは異なり資産の種類を国内と外国に細分化しました。
このポートフォリオは,投資,特に株式が大好きで経験も豊富,年収・資産ともにリッチな初老手前の独身男性を想定しました。

この方は増えない運用法が大嫌いという設定なので,預金の割合は低めに代わりにそこそこ金利の悪くない債券で置換しました。

また,この方は日本よりも他国に可能性を見出しているので,外国債券や外国株式の割合を国内のそれらより若干多めにしました。

ここでの外国はだいたいは米国を想定していますが,その他の国も含まれると考えると,国ごとの割合は日本がなんだかんだで大きくなる可能性があるという点にご注意を。

投資信託は面白みを見出していないながらも保険の意味も兼ねて1割程度含めています。

とはいえ全体でみるとハイリスク・ハイリターンな株式の割合は5割より小さく抑えられているというのがこのポートフォリオのお味噌です👌

当然この人のリスク許容度は高いと判断されます。


このように,自分のリスク許容度に応じて資産配分を考え現在のポートフォリオと
将来的な理想のポートフォリオをどうすれば自分にとって最適なのかを考えながら組み
比較してみましょう。多くの人は預金の割合が現状では高くなっていると思います。

初心者のうちはコレが訓練になると思います。

それに意外と自分で手を動かしてやってみるというのも楽しいのではと思います。
ぜひやってみてください。

(ちなみに表計算ソフトを使えば見た目のきれいな円グラフが楽に作れます)

Point:リスク許容度に合ったポートフォリオを

まとめ

今回は
  • 人によって異なるリスク許容度,
  • リスクをうまく抑える方法,
  • ポートフォリオ
などについてご紹介しました。

次回からはいよいよお預けになっていたそれぞれの金融商品(運用法)の特徴についてご紹介していきます。

次の第5回では,まず身近な銀行預金についてのお話です。
せっかく金融商品の紹介に入るのにつまらなそうだと思った方もいるかもしれませんが,実は銀行預金も立派な資産の運用法の一つです。

さらに意外と知らない・忘れがちな銀行預金のことやこれから持つべきもう一つの口座についてもご紹介します。

次回の答え合わせをお楽しみに👍


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