マネーリテラシー概論 超入門【第1回】 

ガイダンス 

価値ある紙クズ(インフレ・デフレのおさらい)

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お決まりのことですが,大事なことなので書いておきます。

ということで,マネーリテラシー概論 超入門シリーズも記念すべき第1回目です。

今回が初回のこのシリーズは
  • 資産運用・投資に興味がある人

  • 始めたいと思っている人

  • でも怖いと思っている人  などなど

第一歩を踏み出せていないという超初心者の方を対象に,かつては自分もそうだった私が皆さんの踏み出すお手伝いになればと思い,自分なりにまとめてみようという試みです。


今回は第一回目ということもあり,ガイダンスと題して皆様が欲しがっているお金の価値とは,そして私なりに資産運用をしたほうが良いと思う理由についてまとめていきたいと思います。

とはいえ,初回は精神論?みたいな感じであまり面白くはないかもしれません。

目標:お金の価値が一定でないということを認識する


お金とは?(再確認)

さて,皆さんが普段使っている”お金”はどんな姿をしているでしょうか?

福沢さんなど人物が描かれた長方形の紙だったり,円形の金属だったりでしょうか?(現金)

最近は,画面の中の数字になっているかもしれませんね。

因みに大きな石のお金が使われていた(いる?)地域もあります。
(画像はwikipediaより,ミクロネシア連邦のヤップ島の石貨)

(引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E8%B2%A8_(%E3%83%A4%E3%83%83%E3%83%97%E5%B3%B6),2020.11.9 )


そして皆さんは普段それらを当然のように物やサービスと交換していると思います。

または,労働の対価として受け取っているかもしれません。

一方で,その紙切れや金属片,データには実際の物やサービス以上の価値があるのでしょうか?

労働が紙切れや金属片と交換されてしまうのはなんだか悲しくないでしょうか?

当然ですが,紙や金属片そのものに価値はほとんどありません。
 (昔は日本でもお金は金(きん)と交換することができたそうです)

つまり,使う私たちがその紙や金属に価値があると認めている(信用している)ため今日でもその紙や金属を媒体として物やサービスを売買できているのですね。

この事からわかるのはお金そのものを構成している紙などに価値は無いが,お金は”価値を保存する入れ物”として機能しているということです。

また,このように価値を保存できる入れ物のことを「資産」と呼び特に現金,預金,債券,株式などは金融資産と呼ばれます 1)

 (金融資産⇔対義語:実物資産,金・不動産など)

Point:価値を保存する入れ物には現金以外にもいくつか種類がある


お金の価値は不変?

では,お金の価値はいつでも不変なのでしょうか?

紙や金属に記されている数字がひとりでに変化するなんていう怖いことは起きませんから,やはり,お金の価値は変わらないのでしょうか?

答えから言うとNOです。いくつか例を挙げてみましょう。

例1)
ゴロウさんは海外旅行に行く際に5000円(日本円)を50$(米ドル)に換金しました。

そのうち半分の25$をラスベガスで使い,残りの25$は日本に帰ってきたときに日本円に換金しました。

出発の際5000円分あったものを半分使ってきたので2500円になるものだと思っていたら,渡されたのは2750円でゴロウさんは250円分儲けた気になりました。

(なお簡単のため,ゴロウさんが利用した両替所はとても良心的で手数料は一切取らず。また,ゴロウさんは頑張ってピッタリ25$を紙幣だけで持ち帰ってきたとします。)

解説1)
これは皆さん良く御存じの為替レートの変動ですね。
お金というものは世界中様々な国が発行していて,その相対的な価値は昼夜を問わず様々な要因(例えば政治的な)により変化しています。

ちなみに数ある通貨の中でも,米ドル,ユーロ,日本円は世界三大通貨と呼ばれているようです。

また国によっては自国で発行している通貨よりも信用できる米ドルが普段の生活に使用されているなんてこともあるようです。
今の日本ではなかなか考えにくいですよね。

例1では為替レートが1ドル100円(5000÷50=100)だったのが,帰ってくることにはに1ドル110円(2750÷25=110)に変化していたということですね。

さて,帰国後は出発前に比べて円高になったのでしょうか?それとも円安でしょうか?

良くこんがらがってしまう人がいますが,この場合は円安です。

円の方が数字が大きくなっているから円高なのでは?と思う方は1円玉を1 gのアルミニウムとして考えてみましょう。

(1円玉を溶かして金属アルミニウムとして使うのはいけません。良い子は絶対にしないようにしてください。でも過去にはアルミニウムが1万 g足りないからと言って,財布から1万円札を取り出して1円玉に換金させた偉大な科学者?技術者?が居たとか居ないとか…)

1ドルで100 gのアルミニウムが買えたのに,帰国後は同じ1ドルで110 gのアルミニウムが買えるようになった。
つまりアルミニウム(ここでは日本円)の値段が安くなったということですね。

この例はあまり馴染みのない人も多いかもしれませんので,次はより身近なスーパーマーケットでの例を取り上げてみましょう。

例2)
ある日ハナコさんはスパーマーケットで1箱600 g入りの250円の粉洗剤を買いました。

その半年後同じように250円を手に同じスーパーマーケットに全く同じ洗剤を買いに行くと,その洗剤は300円に値上がりしていていました。

結局,ハナコさんはその日洗剤を買うことはできませんでした。

解説2)
これは,単に商品の値段が上がっただけでは?と思う方もおられるかと思います。
ですが冷静になって良く考えてみましょう。

前提としてハナコさんが買おうとした洗剤は半年前と全く同じ物です。
容量が増えたり洗剤自体の性能が良くなったわけでもありません。
つまり,洗剤自体の価値が上がったとは考えにくいです。

では,お金の目線で考えてみるとどうでしょうか?
最初1円には2.4 gの洗剤を買うだけの能力があったのに対し,半年後には2 gの洗剤を買うだけの能力になってしまったという考え方ができると思います。

さて洗剤の値段は半年間で50円も値上がりしました。
スーパーマーケットがハナコさんに意地悪をしたくてその日だけ50円値上げした値札に買えたとは思えません。
また,これは日本国内だけでの話を想定しているので先程のような為替レートの影響ではありません。
(洗剤の原料を輸入しているとかであれば実際は関係あると思いますが簡略化のため考えないことにします)

また最近,値段や容器の大きさは変わらないのに中身のお菓子が前より小さくなっているのをよく見かけませんか?
(これをステルス値上げと呼びます)

このように,物の価値(物価)が継続的に上がり,相対的にお金の価値が下がるというフレーズに聞き覚えが無いですか?
そうです、これが社会科の教科書やニュースで見たことのあるインフレ(インフレーション)です。

逆に物価が下がって相対的にお金の価値が上がることをデフレ(デフレーション)と言いましたね。

そして,インフレとデフレは繰り返されるとされています。

Point:お金(通貨)の量(数字)は変化しないが,お金の価値は変化する

まとめ:資産運用の意義・目的とは?

今回は下手くそながら色々と例を作ってみたりしてまとめてみました。

私がここで皆さんに気が付いてほしかったことはお金の価値変わるということです。

よく資産運用や投資が怖い理由として価格が変化するからという方が多くいらっしゃいます。

一方で現金は数字が減ることは無いから安心だとか,銀行預金なら防犯の面でも安心おまけにわずかながら利子までくれるなどなど。
(銀行預金についは第4回で)

日本では金融教育がほとんど行われていないためもあってか,多くの日本人は現金が大好きで一方投資には消極的です。

ですが先に述べたようにお金の価値は見かけ上変わらなくても実際は目減りしているかもしれません。


一方で,お金の価値が下がると債券,株式など他の金融資産の価値は相対的に上がります。

さらにその事を知っている人がこぞって,お金をそれらの金融資産に交換しようとして需要が高まるのでそれらの金融資産はさらに値上がりします。

もちろんデフレなど逆の場合もありますが,ここ何年かの間(2020年現在)日本では異常なほどに長期化したデフレ状態にあると言われています。

そして,先程述べたようにインフレとデフレは繰り返されるため,今後日本はインフレ状態に推移すると予想する人が多くいます。

その様な状況でタンスや銀行口座にお金をただただ眠らせておくというのはあまり得策ではないように思われます。

資産運用と聞くと,お金を増やす事,儲ける事が目的だと真っ先に考える方も多くいらっしゃると思います。

確かにそれも大事なことです。

働かせることのできるだけのお金(資産)がいるのに,働かせる(運用)ことなく金庫の中に幽閉するという事はある意味機会損失という見方もできます。

しかし,私はそれ以前にお金を(経済的・政治的な)状況に合わせて的確な資産と交換し,その中に保存されている価値の目減りを防ぐことも資産運用の意義・目的ではないかと考えます。

第1回は以上です。長い割にあまり面白くなかったかもしれませんが,ここでは認識を改め目的をはっきりさせるという事を目標に書いたつもりです。

次回、第2回では「資産運用と投資ソレって本当に投資ですか」と題して投資の本来の意味,投資の対象,投資のそっくりさん,リスク・リターンなどについて書いていこうと思います。

誤字脱字や分かりにくい点,間違い,感想などがあればコメントにて教えていただけると嬉しいです。

それではマタネ~✋




参考文献

1)ミアン・サミ,教養としての投資入門,朝日新聞出版,2020,p22-25


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