マネーリテラシー概論 超入門【第3回】リスクとリターン 

痛み無くして得るもの無し (リスクとリターンは表裏一体)


マネーリテラシー概論 超入門も節目の第3回を迎えることができました。

前回の第2回では投資とそのそっくりさんである投機についてご紹介しました。
是非とも投資のふりをした投機に参加せず,ボッタクリ金融商品をつかまされないよう正しく資産運用をしていきましょう。

第3回の今回は,資産運用・投資をしていくうえで特に大切なリスクとリターンのお話です。

リスクと聞くとヤッパリ投資って怖いものと思う方もいらっしゃるかもしれません。



しかし皆さんが持っているリスクのイメージはこれから私がご紹介するものと異なるかもしれません。
(私も始めはリスクの意味を誤解していたので,正しいリスクの意味を知ったときは目から鱗でした💦)

この回でリスクについて正しく理解し,正しくリスクとの付き合いを目指しましょう❗


注意:

投資はあくまで自己責任で行うものです。また,当ブログは特定の投資行為を推奨するものではありません。ゆえに当ブログでは一切の責任を負いかねます。詳しくはブログポリシーのページをご確認の上ご了承ください 

大事なことです。今回の内容に若干関係がありますね。


今回のキーワード

  • リスク・リターン

リスクの種類

  • リスクは怖いもの
  • リスクはできるだけ避けたい
  • リスクは小さいほうが良い 等々
皆さんにとってリスクはイヤなもの危険なものというイメージがあるかもしれません。

確かに,リスクとは一般的に危険という意味でよく使われます。

しかし,資産運用・投資の世界ではリスクは必ずしも危険という意味だけで使われるわけではありません。

投資の世界でのリスクにはいくつか種類があります。
  • 価格変動リスク
  • 信用リスク
  • 流動性リスク
  • 為替変動リスク
  • 金利変動リスク
  • カントリーリスク
いろいろありますが,とつくリスクが多いように見えますね。

ちなみに私は証券会社の方とお話しする際は価格変動リスク,信用リスク,流動性リスクの3つがよく登場します。
初心者の人にとってこの3つは特に基本的で重要だと思います。

それぞれ簡単に解説してみましょう。

価格変動リスク

これは超初心者の人にとって最も分かりやすいリスクだと思います。
投資は損するから嫌だ,その損する最も直接的な理由ですね。

これは,株や投資信託などの金融商品そのものの価格(株価,評価額)が変わるリスクです。

例えば今日100円で買った株が明日90円になるかもしれない,株価が下がるかもしれない、というリスクです。

おそらく投資は怖いというイメージをお持ちの方にとって最も馴染み深いリスクでしょう。

一般に株価が下がるから損をすると思っている人が多いかもしれません。
ゆえに、値下がりリスクではないのか?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

実は価格が上がると損をする人もいるんです。
(ただ初心者の内は全く気にしなくて良いです)

大事なのは価格が上下どちらに動いたとしてもリスクがあるということです。

信用リスク

別名、債務不履行(デフォルト)リスク。
国の財政が悪化したり,企業の業績が倒産したり業績不振の場合に,国債や社債 など債券を買うのに使った分の元本や受け取れるはずの利息が返ってこなくなる、受け取れなくなるリスクです。

簡単に言うと貸した借金が返ってこなくなるリスクですね。
(私は紙くずリスクなどと呼んでます)

流動性リスク

買った株などの金融商品をすぐに換金できないリスク,一般的に売りたくても売れないリスクのことです。

例えば、知名度の低い会社の株を買ったが急に現金化したくなって売ろうしたのに誰も買ってくれる人がいない(買い注文が無い)といった場合が該当します。

また、その会社の株が上場廃止(手軽に売り買いできなくなる)という場合も該当します。

為替変動リスク

これは外国の金融商品をその国の通貨で買った場合(「外貨建て」と言います)に為替レートが変化して損するリスクです。

朝のニュースで「今日のドル円は~」と言っているおなじみのあれですね。

例)
為替レートが1ドル100円の時に100ドルの株を1株買い、105ドルになった時に売りそのお金を為替レートが90円の時に日本円に戻すと

(例によって簡単の為に,証券会社や国がとても良心的なので株や通貨の売買に手数料はかからず利益から税金も取られませんでした、という設定です)

1 (株)×100(ドル/株)=100(ドル) アメリカドルで必要なので
100ドル×100(円/ドル)=10000 円 日本円で払った
1(株)×105(ドル/株)=105 ドル 株を売って得た

これを日本円に換金したら
105(ドル)×90(円/ドル)=9450 円になった。

結果として105-100=5 ドル分稼いだはずなのに
10000-9450=550 円分損した、ということになります。

(実際には株の売却と換金は必ずしも同時に行われるとは限りません)

株価は上がったので儲けたと思っていたら,為替レートの変動のせいで逆に損してしまいました。
このようなことが外国株では起こる可能性があります。

外国為替が絡んでくると
  • 株価でも為替でも両方得しているパターン
  • 株価では得したが為替の方で損しているパターン
  • 株価で損をしているが為替で得をしているパターン
  • 株価でも為替でも損をしているパターン
4つのパターンが想定されるという事はお分かりいただけると思います。

このように,外国為替の絡んでくる金融商品はいっきに複雑になるので
当ブログでは中~上級者向けと位置付け,初心者の方にはお勧めしていません。

逆に言うと,そのような金融商品(外貨建ての商品)に関わらなければ,このリスクとはほとんどご縁はありません。

金利変動リスク

これは金利が変わることで,債券などの価値が相対的に変化するリスクのことです。

具体的には、以下のような場合です

1年あたり投資した金額の0.005%(年利0.005%)の金利がもらえる5年債権(基本的に5年保有したまま)を買ったとします。

この債権を保有して2年目に銀行の定期預金の金利が0.1%にまで上がりました。

この時、債券を持っているよりも銀行の定期預金の方がお得なので相対的にですが金利が変わらない(固定金利)債券を持っていると損したことになります。

ゆえに,お得でなくなった債券の価格は下がります。

第1回で解説したように,お金の価値も変化します。

この例では,債券よりもお金という形で資産を持っているほうが金利的に有利なので,相対的にお金の価値が高まっている,デフレ局面という見方もできます。

カントリーリスク

これは,投資先の地域・国の政治・経済、社会情勢,(自然災害)などの影響により損するリスクです。

例えば,日本円をある国の通貨に両替して預金(外貨預金)しておいたら,その国で大規模なテロが起こった場合,その国の通貨は安全でないという考え方をする人が増えます。

結果として他の国の通貨(代表的なのは日本円)に換金する動きが高まり,その国の通貨を持っていたら損をしてしまったというケースが考えられます。

一般的に中東やアジア,中南米,アフリカなどの新興国ほどカントリーリスクは高いと
言われています。
(この後の内容に関係しますが、逆にそうした国の方が預金金利は良いそうです。)

しかし,先進国に数えられる日本も地震や津波など自然災害が比較的頻繁に起きるという点では,他国から見てカントリーリスクが高い国なのかもしれません。


ここまでは,様々なリスクの種類について見てきました。

では,結局リスクの正体とは何なのでしょうか?


リスクの正体とは?

投資の世界では一般にリスクとは価値の変動(バラツキ)のことを呼びます。

そして,その変動の幅がリスクの大きさとみなされます。

以下は一般的に投資の世界におけるリスクのイメージを図にしてみたものです。




例えば第1回で学んだようにお金(現金・預金)もインフレやデフレなどで価値が変動します。

しかし今日12ロールで198円だったトイレットペーパーが,次の日に突然248円にまで短時間で値上がりする(相対的にお金の価値が減る)という事は考えにくいかもしれません。

一方で皆さんがニュースなどでよく聞く日経平均株価(日経225)は1日で200~600円くらい変わるのも珍しくありません。

15分もしない間にある会社の株価が30円くらい変わることもしょっちゅうあることです。

中には高々30円くらいならと考える方もいらっしゃるかもしれませんが,多くの場合日本の株式は100株を1単位として売買されることが多いので最低でも3000円分の変動です。

ですから,皆さんの持っている「株はリスクが高い,現金は安心」という何となくの感覚もこのようなところからきているのかもしれません。


それから私は個人的に
リスクの大きさとは”単位時間当たりの価値の変動の大きさ”だと思っています。

ここで,なぜ時間という概念を引っ張り出してきたのかというと

例えば明治30年ごろはおよそ1円でお米 10 kgを買うことができたそうですが,今(2020年時点)では3200円くらいします。

しかし,誰もお米の値段が高すぎるとは思いませんよね。
これはお米だけでなく物価が何年もの月日をかけてゆっくりと上昇してきたからです。

(逆に,そのときの1円をただ現金で持っていても今でもお金としては1円の価値しかないわけですから資産運用は長い目で見ればかなり大事ですね)

一方で,15分前に買った株の値段が15分後には100円も値下がりしていたら大変です。
一般的に株は100株単位で取引されるので100(株)×100(円/株)=10000円の損失です。

しかし,たった15分でお金の価値が急に変わるとも考えられないのできっちり1万円損したことになります。

やはりリスクが大きいから投資はやめておくべきでしょうか?

ではなぜ,大きなリスクを取ってまで投資をするのでしょうか?

それにはリターンが関係しています。

リスクとリターン

株はリスクが高いから現金だけ持っていればよい!という人ばかりでは世界中の株式市場は存在価値が無くなってしまいます。

ではなぜ投資家たちは株や投資信託を買おうとするのでしょうか?

それには”リターン”が関係しています。
ここでのリターンとは,投資の対価として得られる対価です。

このリターンが0より大きい場合は利益が出ていますから投資は成功

逆にリターンが0より小さな場合は損している為,投資は失敗と判断されます。

”No pain, no gain(痛み無くして得るもの無し)”

こんな言葉を聞いたことは無いでしょうか?
簡単に言えば,美味しいとこ取りは許されないという意味です。

以下の図をご覧ください。




この図はこの後頻繁に登場します。(頻繁に登場させる予定です)

この図は,リスクを横軸に,リターンを縦軸にとり預金,債券,投資信託,株式の大まかな分布を示したものです。

なお先物,コモディティー,FXなど金融商品は他にもありますが,初心者のうちは手を出さない方が良いと判断したため載せていません。

この図を解釈するうえでのポイントは3つあります。
  • それぞれの金融商品の領域はほぼ直線上にある
  • ローリスク・ハイリターンは無い
  • (投資信託は広く分布している)

ここで1つ目,2つ目のポイントを踏まえて改めて言いたいこと,

それが、”No pain,no gain”です。

(ちなみに私の友人はこの言葉が好きと言っておりました💦)

ローリスク・ハイリターンという美味しいものはありません。
仮にそう見える商品があればそれは詐欺商品かもしれません。

逆にハイリスク・ローリターンという商品は十分にあり得ます。
そうした商品はだいたいローリスク・ハイリターンな商品や普通の商品の見た目をしていますが,手数料などのコストで少しづつ引かれてリターンが結果として少なくなることが一般的です。

ここで大切なのは

    ”リスクとリターンが対応した商品かどうか疑う” ということです。

金融商品を選ぶ際は,先ほどの図を思い出し,対象の商品がどの辺に相当するのか考えるようにしましょう。

3つ目のポイントについてはいつものお決まりですが,投資信託と一言でいっても,
色々とあります。(何が色々なのかは別の回で詳しく触れます)

物によっては銀行でも買うことのできる金融商品で,気安く買いがちな投資信託ですが
そんなに単純な商品でもないように思えます。

Point:リスクとリターンは表裏一体

まとめ

今回はこの辺でお終いにしておきます。

今回は資産運用全般で特に大事だと思われるリスクとリターンの関係についてご紹介しました。

私自身も株の評価額が+4万円になっていたと思ったら,次見たときはー3万円に代わっていてオドオドしていたら,さらに次見たときにはまたプラスに戻っていたという事もしょっちゅうあるので,つくづくリスクの幅は損益の幅なのだなぁと思う今日この頃です。

投資はリスクがあるからただただ危ないという考えや,逆に投資で一攫千金を狙おうという考えが投資に対する考えとして必ずしも正しくないという事が分かっていただけたなら幸いです。

次回(第4回)は,リスクとの付き合い方,リスクを適切に管理する方法などについてご紹介するつもりです。具体的な金融商品の紹介がどんどん先延ばしになってしまいますが,気長にお待ちいただければと思います🙏


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